スティーブ・ジャクソンのソーサリー
ニジが、過去にあらゆるファンタジー(映画、ゲーム、書籍など)に触れた中で、最も興奮した作品と言っていいと思います。
80年代序盤から中盤にかけて一世を風靡したゲーム・ブックというやつの代表作です。(もう影も形も知らない方も多いんでしょうね…。)
要は一人で遊べるテーブルトークRPGみたいなもので、サイコロふって頁から頁へと冒険する内容です。
実際の魔法使いよろしく、本当に魔法の呪文を暗記して(アルファベット3文字ですが)戦うといったゲームシステムの秀逸さだとか、シナリオの優秀さとか、素晴らしいところはいっぱいあるんですけど、
何ってその雰囲気が素晴らしい!
なんていうか、読み物としての魅力が格段に高いシリーズでした。
いや、そりゃ、文学的とか、そういう次元ではないんですけど。
ニジのファンタジー観というのは、どのビデオゲームでも小説でもなく、確実にこのシリーズ4作によって作られています。(でも『ゲド戦記』も。)
それは当然ゲームシステムやシナリオと密接に関わることなんですけど、本気でカクハバードの冒険者になりきりのドキドキ状態に否応無く引き込む文章と挿絵です。
野宿のじめりとした感触や、
恐くて1つ先の曲がり角の様子をいつまでもうかがってしまう砦の探索の感じ、
懐から“にかわ”を取り出し呪文を唱える不安と期待、
そして死の圧倒的絶望感。
今なお、自身のファンタジー体験としてしみ込んでます。
結構子どもにはシビアな難易度で、よくズルしましたけど。つーか、ほとんど戦闘はズル…。(笑)
やはりそういう思いを抱いていた同年代の方が多かったようで、新訳で復刊してるみたいです。新版は見た事ないんですけど、あの挿絵は変わっちゃったのかな。あの挿絵大好きなのでそうだとしたら残念です。
ゲーム・ブックではあと『死の罠の地下迷宮』、『ネバーランドのリンゴ』(迷宮がスゴかった)や、『展覧会の絵』なんかが記憶に残ってます。
ミュータント・ミートボール恐い!