1:09 am
『天才柳沢教授の生活』がこのところ実にいいと思う。
30巻も本当にいい。
どことなしにこのマンガはいつからか“老い”というものに相当自覚的に描かれているのではないかと思う。
お話もそうだし、筆致もそう。もう全体的に相当練られて。
一時期はその筆致の変化が、わたしには単に“衰え”に感じられてすごく悲しい気持ちになったのだけれど、ここ最近の完成度を見ていると、ここを目指していたのかもしれない、と思えてしまう。
こんな風に"老い”というテーマをエンタテインメントに昇華できた作品があったろうか。もしかしたらすごい作品をリアルタイムで体験できているのかもしれないな。
“老い”は単純な“衰え”ではない。
人間の1つの段階。他の段階と同じように、幸せな老いもあれば悲しい老いもあるんだ、きっと。
光り輝く老い方も、ある。
そんな希望。そんな温かさ。
柳沢教授の死を、山下和美はどう描いてくれるのだろう。もしくは描かないだろうか。
その時自分がどんな風にそれを見つめるのか、幸せに不安です。
本当に素晴らしいマンガだと思う。