billion voices
『リトルメロディ』も出て、付け髭も発覚した(笑)七尾旅人ですが、やはりこの盤は名盤と思う。
若い頃の才気走った感じの頃は、わたしはやや敬遠していたアーティストだったのですが、
いつの間にやら、なんと言うか実に才気走りかつ肉体的かつおおらかな感じになって、
そのことをこのアルバムで知って、ずっと聴いてるお気に入り盤です。
体使って歌唄ってる感覚がしっかりある。
やりたいことをちゃんとしっかりやってる感覚がある。
とがってる。かつ、リラックスしてる。
もう大好き。
「I Wanna Be A Rock Star」の激情で一気に掴まれ、
マイルスのトランペットの口まねでニヤリとし、
「どんどん季節は流れて」「Rollin' Rollin'」の鉄壁の流れ、
「1979、東京」でふと自分を振り返り、
「私の赤ちゃん」で小さな祝福に包まれて。
楽観も悲観もない。
2010年の生活と命と思考の遠近法。
2011年を経て、今聴いても、寒々しく無惨には聴こえない。
変わらぬ優しさと激しさを保っている。
多分そういう強度では作品を作っていないのだろう、彼は。
とても好きなアルバムです。