沈黙の艦隊
サイレント セキュリティ サービス フロム ザ シー!!
と、いうわけで、なぜか今さら文庫で一気買いして一気読み。
読ませる。ぐおおと読ませる。
剛胆な大娯楽作。
でも決して荒唐無稽と一蹴することはできない力があります。
そりゃあ潜水艦が空は飛ばないでしょうよ。
もっともっと薄汚い人間もいっぱいいるでしょうよ。
しかし、ちゃんと読ませるんです。
それは、エンタテインメント的な魅力の強力さと、あくまで“机上の空論”が真面目に、真剣に練り上げられていることと、根底にある感覚が正直なことの力ではないかと思います。
子どもの頃の素朴な疑問。
なんで人は国なんて単位にわかれているの?
人は殺しちゃいけないはずなのに、なんで普通に殺しあってるの?
単純な、そしてそれ故に頑強な疑問に、真剣に考察と空想をめぐらせ、“独立戦闘国家「やまと」”なんていう大娯楽的発想を練り込み、その筆力でぐいぐいと読者を巻き込んでいくことによって、読ませる大娯楽作として成功しています。
複雑に絡まった世界の根っこには、意外と単純な人間の感情と感覚があるだけなんではないのか?
複雑に見せたがる全てを剥いでいったら、世界は子どもの問いのような1点を見つめるだけなのでは?
「人間は悪意より善意が上回っている?」
主要キャラクターに女性皆無!
読ませる読ませる大娯楽作です。
今読むと、予見めいた感じもあって、バブルの頃よく描いたなあ、とも思います。
「何だ このバカバカしい戦争は!」
「カイエダは今 世界に観せようとしています!」
「この笑えるほど愚かしい自分の姿を!」
「ですが 彼こそが戦争を嗤っているのです 大統領!」