フラワー・オブ・ライフ
とても面白かった。
文句無しに面白い。
んが、さらに、ただ面白いだけじゃなくて、このマンガは、読むと感じるある種のひっかかりが、さらにその魅力を高めているように思います。空気感というか。
魅力的な(だが一部を除いては全く普通な)キャラクター達が織りなす全く普通な高校1年間の青春群像。
心躍らずにはおれないイベントの興奮と幸福。(いろんな“イベント”。笑)
丁寧に丁寧に描かれる様々な心の機微。(買い物のエピソードも、本の貸し借りのエピソードも、本当に秀逸ではないでしょうか。)
それぞれの成長。
ギャグも面白い。
青春ものとして、とても高い完成度だと思います。
しかし、読んでいて、なんとなくひっかかりが残る。
それは何だろうと考えると、
とても作者がドライだなあ、
という感覚に行き着くのです。
それはドライなキャラクターが登場してドライな人間関係を築いている、とかではなくて、熱いキャラクターや彼らの人情を描いていても、どこかドライ、作者のキャラクターに対する関わり方がとてもドライ、という印象なのです。
しかもそれはキャラクターに対する濃密な関わり方をあえて排している、というよりも、デフォルトでドライというか、平熱的にドライというか、「そういうものだから」ってな感じに普通にドライ。
そしてその感覚、空気感が、非常に自分の感じている“今”の空気感と近しくて(日常と近しくて)、ひっかかるけど嫌じゃない、不思議な読後感を与えるのです。
最後の桜吹雪、真島の姿は描かれもせず、
なんのフォローも意図を感じさせる描写もなく、花園はただ一人です。
「好きにおやりなさい。見てるから。」そんな感じ。
決して冷たくはないけども、暖かだけども、同時に突き放した空気感。
これがなかなか面白いのです。
ちょっと心細くても、そんなもんです。しっかりおやりなさい。
全4巻。