笑う大天使
鮮やかな作品。
一体どこへ連れて行かれるのかと、ハラハラドキドキしながら読み進めるうち、
くすりと笑い、
ゲラゲラ笑い、
ほろりと泣いて、
あっという間に読み終わると、なんとも鮮やかに輪が閉じている。
そこには何の破綻もなく、ストーリーを思い返せばむしろオーソドックスささえ感じさせるのに、でも全く退屈さはなく、ジェットコースターに乗っていたかのような大満足な読後感。
鮮やか。
これをエンタテインメントと呼ぶのではないのかい?
この作品は、人間の善良さを、軽やかに肯定している気がします。
実はそれは、とても凄いことだと思います。
少なくとも軽やかにできることではない。と思う。
「それでも人は善良だ」という感覚を“軽やかに”読ませる作品を描く、ということは、凄く大変なことではないのかなあ。わたしは作者のことも、作家一般の苦悩のことも詳しくは知らないけども。
あと、作者の教養には圧倒されますよね。
(ちょっとニジ的にはさすがに「多すぎ!」と思う)最近の時流にのってかのらずか、映画化もされるようですし、もしまだならこの機会に是非一読をお勧めしたいマンガの1本です。
マンガが「好きだ好きだ」と言いつつ、実は少女マンガに関しては、独特のクセについていけない=読んでいない、半端者のニジですが、川原泉は別格ですよね。
ひらりとジャンルなんていうものを飛び越え、しかし、ちゃんと着地する感じが名手だと思います。
ギャグは本当に面白いし。
鮮やかな作品。