マラソン
もう最近はレンタル屋でDVD選ぶ時も、すっかり関心空間で気になったものから選んでいるニジですが、これもそんな1本。ありがとうございます。好きな映画でした。
近年の韓流ブームに乗っての公開なのかもしれないですが、そんなの全然関係無しのいい作品だと思いました。特に、こういったいかにもな感動巨編的空気をジャケットなんかが発してしまっている作品の場合、思わず敬遠してしまう方も多いと想像するんですが、この映画はいいと思います。逆にもっとクローズアップされてもいいのに、とも思いましたが。
とても優しく丁寧。
とても暖かく真剣。
人が何かを自分の意志で乗り越えていく瞬間は、周囲の人間も何かを感じずにはいられない。そうやって真剣で丁寧に、小さく、だけど大きく、世界は変わる。
そんな感覚を美しく、柔らかく、暖かい映像と空気と共に。
自閉症の人が主人公なのですが、そういった意味では、設定はあんまり関係がないことを描いている気もします。
ただ、(わたしは、自閉症のことをよく知らないし、現実のその周囲の方々の苦労もよく知らないけれども、)相手に自分の気持ちが伝わっているのかが、相手が本当に何を感じ、思い、喜び、苦しんでいるのかが、極めて伝わらない状況、というのがこのストーリーの大きな要素であることは確かで、
“良い感情”であるはずの(あって欲しい)”愛する”という感情が、良くない方向で全員を苦しめてしまう悲劇と、
ただ、それでも、何の為でもない、想いでしかない想いは、理屈じゃなく人に伝わって分かり合えるんだ、という希望を、ちゃんと心に届くように描くのに成功している気がします。
そしてこのことは、周りに自閉症の人がいないあなただって、わたしだって、徹底的に同じなんだ。
だから泣いちゃったし、感動したんだろう、と思うのです。
わたし好みの映画、と言うとそれまでなんですけど、いい作品だと思います。
映像も好みです。美しく、暖かい。
汗でびしょぬれのランニングも美しく、土砂降りの雨も、暖かい。そんな映像。