渋谷区円山町
正直おかざき真里が月9の原作になったりする日が来ようとは想像もしていませんでした。
ファンロードに描いていた頃から気にはなる描き手さんだったのですが、広告代理店の社員との二足のわらじだったり(今は退職されたようです)、何よりわたしにとっては繊細にすぎた作風が、きっと女性の生理的な部分には激しく響くのだろうなあ、と思いつつも理解の範疇を超えたところがあって。
コアなファンによって支持されていく作家になるのだろう、と。もしかしたら消えていってしまうのではないのかな…、と思っていました。
しかしながら、彼女のマンガが本屋から消えていくことはなく、それどころか近年じわじわじわじわ本屋で目立つ存在に。
そしてついに月9原作ですよ。
でもやっぱり彼女のマンガには少女マンガ的な強いクセがあるイメージがあって、それが邪魔して『サプリ』もちゃんと読んでいなかったのですが、彼女のマンガがメジャー・シーンに立ったことに対する興味もあって、短編ならなんとかなるかも、と読んでみました。(たまたま貸してもらえた、というタイミングもありますが。)
「とてもバランスが良くなったなあ!」と思いました。
(これが、もともとこういう作家でわたしが読んでなかっただけなのか、それとも自然と作風が変化した結果なのか、はたまた、あえて作風をシフトさせているのか、はわかりませんが。)
これはぐいぐい読める。
男女とも読めると思います。(ただ同時に物足りなく感じる方(主に女性ではないかと思いますが)もいらっしゃるのでは、とも思います。)
その繊細な感覚が、とてもいい塩梅で1つのエンタテインメント作品の“性格”として機能できている感じ。
例えば『のだめカンタービレ』が(掲載誌が女性向けというだけで)完全にジャンルとしての少女マンガの枠を出て楽しいのだと思えるのとは別の形で、はっきりと少女マンガからのエンタテインメント作品、といった感じ、でしょうか。
とても面白かったです。「青空」も「放課後」も、ぐいぐい読ませます。
同時にここまで性差を意識させてマンガを読ませる作家としてのおかざき真里にも興味があります。非常にわかりやすく意識させてくる感じが。
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2007,1,4
追記 : ああ、でも「1996年の夏休み」とか好きで、ここで言うバランスも結構いい気はします。
振れ幅の問題で、すんごくクセの強い作品のイメージがわたしの中で強いだけなのかもしれません…。
あいまいなKWですみません…。